Em7/Asus4/Em7/G/D
このところ頭がきちんと働いていない。
音楽を聴いても心地良いボリュームが分からないし、小説を手にとっても気付けば同じ文章を読み返したりしている。思えばご飯もあまり喉が通らない。
得体の知れない何かに支配されているような気がするが、ただ何となく正体も分かっているような気もする。不透明な焦燥感が疲労の抜けない身体を包む一方で、脳内を満たすのはスピッツが鳴らすような色鮮やかな風景。
溜息の色が変わり、血液が入れ替わる。
息が苦しいようで、何処か心地良い。
"半端な言葉でも 暗いまなざしでも
何だって俺にくれ!
悲しみを塗り潰そう
君はどう思ってる?"
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フロイトの唱えた抑圧理論を思い返す。
同じ歌を何度も聴くように、思い出の花の匂いをずっと嗅ぐように、日々の薄明光線を反芻しながら生きている。
誰も知らない土地で、思い切り地面を蹴って息が続くまで走ってみたい。
駆け終えた先に何が見えるだろう。
それが海の見える港町なら、珈琲を2つ買って通りに面したベンチに腰を下ろし、目を瞑って鳥の声と波の音を感じながら、聞き覚えのある足音が近づくのを待とう。
そして歩き出すんだ。