「スモーク」
人間は不器用な生き物なんだけれど、それでも手を取り合って生きていこうとする。人と人とが心を交わすとき、間には煙草があった。
ゆっくりで良いんだよって、そう言っているような気がした。
煙の重さは、煙草を吸うまで分からない。
それを測ろうとすれば、吸い終わったあとに何となく、でも確かに感じられる。
心で繋がるという事がどれだけのことなのか、あの頃より今の方がずっと分かっている。でも、きっとこれからもっと深く分かる日が来るはずだ。
その時の僕は、今よりも幸せだろうか。
真実か嘘かは分からない。でも、心が満たされるなら、あたたかな気持ちになれるなら、それで人が笑顔になるなら、それはもう真実なんだよ。